2007年10月17日水曜日

定年団塊世代を農業に引っ張り込もうとして躍起の農協、騙された団塊定年世代の哀れな末路



昨日のNHK首都圏だが、今日の朝の早い時間にもやっていたようだ:
Yahoo!テレビ - おはよう日本: "農業担い手の切り札・狙いはサラリーマン"
これじゃ、ニッポンの農業に未来はないと、断言できる。

最初にやっていたのは関東の農村で、農協は農家の息子のサラリーマンで定年になった連中に狙いを付けて戸別訪問で勧誘している。いい爺さんが、親(農民)譲りの豪邸に住んで、もう悠々自適で暮らしたいと言っているのに「ほうれん草を植えれば年に百万円になりますよ」と無理やり勧誘。他にも相続税対策に有利だとかなんとかいっているはずだが、さすがに番組ではそれは放映されなかった。爺さんの方は時間つぶしに盆栽でもするかと思っていたのだが、盆栽はお金が儲からないけれど、ほうれん草なら年金に上乗せのお小遣いになる、趣味の園芸程度で今どき年百万円余分に稼げるのならと「定年帰農」の決断をする。そんな気持ちでニッポンの農業をやって貰っては困るのである。

もうひとつの例は、関西でのケース。農協が、会社生活に嫌気がさして「自然生活に憧れる」逃避型軟弱サラリーマンをうまく騙して農地を貸して「作男」にする戦術の紹介。会社の搾取は逃れて逃避しようとしている心理を巧く利用するのだが、彼らは永遠に地主の搾取下に入るのである(要は小作農だ)。おまけになけなしの貯金を農業に投資してしまうのだから、一種の詐欺商法。ナイーブな自然派サラリーマンの末路はすでに確定している。可哀想でならない。

その一方で、真面目に国際競争力のある農業を目指して頑張りたいという若い農業青年は、耕作放棄農地ですら借りられずに大規模農作が出来ないでいる。地主はやがて農地の宅地転売で儲けるつもりだからの本格的な農業実業家への借地権の発生を嫌うのである。彼ら農村青年は「定年帰農」なんか頼むから止めてくれと切実に訴えている。ノーソンには前近代的な欲ボケ爺さんが多すぎるのだ。サラリーマンを農村に呼び寄せようというのはノーソン票を増やそうとする農協の「政治的」集票作戦の一貫だなのであろうが、これがニッポンの農業の近代化を阻んでいるのである。

この辺りの現実については、この本を読まれることをお奨めする。改革の意欲に燃える農村の若い世代が如何に現状にフラストレーションを感じているかがよくわかる。はっきり言って年寄りは農村に居って欲しくないし、さらに都会から爺さんなんか來て欲しくないという。その通りだと思う。良書です:

農の戦犯—誰が農業をダメにしたのか
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